溺愛オフィス
確かに、人間関係にトラブルがないように気は使ってるかもしれないけど。
いい子に思われるような素振りはしてない、はず。
もしも、KAORIさんが言ってるのが撮影時の話なら、仕事だからと色々配慮した部分はあった。
KAORIさんにはそれがいい子ぶってるように見えたんだろうか。
だとしたら誤解だ。
ちゃんとその誤解を解かなければと、息を吸った直後。
「あの日宮って子も、こんなぬるい子のどこに惚れたんだか」
KAORIさんが零した声。
「……え?」
「──あ」
瞬きをして、彼女を見る私。
しまったというように、目を見開くKAORIさん。
もしかして。
もしかすると。
「聞いてた……んですか?」
あの日、スタジオでの一場面。
その時にKAORIさんが来ていて、壮介君の告白や、桜庭さんがかばってくれたのを聞いていた?