溺愛オフィス
【お酒は怖いのです】
ライムをかじり、すっぱさが消えないうちにテキーラを口に流し込んで。
その後、塩を舐めて、次のテキーラに備える。
またライムをかじって、テキーラを流し込んで、塩を舐めたら……
「はれ……?」
私の世界が、ふにゃりと歪みだした。
心臓もバクバクする。
一杯目を飲んだ時、きつ過ぎると思ったけど……
二杯でこんなになっちゃうなんて、と危機感を覚えてる間にも、私の目の前に、新しいライムとテキーラが出された。
ライムを手にしようと視線を落としたけど、焦点が合わなくて。
自分で、これ以上はヤバイと感じた時だった。
「柊奈、もう無理でしょ」
背後から、美咲の声。
「ごめんなさい、電話がかかってきて遅くなっちゃいました」
多分、KAORIさんに話しかけてるんだろう。
ちょっとだけ余所行きの声で、美咲が続ける。