溺愛オフィス
私は、夢の中にいるんだろうか。
だって、ありえない。
私の家に桜庭さんがいるなんて。
「夢に決まってる……」
だけど、呟いた声はリアルで。
「まだ意識がハッキリしてないのか」
聞こえてくる桜庭さんの声もリアルで。
「ほら、飲め」
頬に当たっていたソレが離れたかと思うと、ベッドサイドテーブルに控えめな音をたてて置かれた。
のそのそと体を起こすと、体がふらつく。
手を伸ばし、水で喉を潤したところで、KAORIさんのことを思い出した。
「KAORIさんは……?」
「帰ったらしい」
ベッドに腰掛けた桜庭さんが答えて、私は肩を落とした。