溺愛オフィス


「すみません……役に立てなくて」


まだうまく頭が回らない。

それでも、早々にダウンしてしまったのはわかっている。

私はまた、何も出来なかったのだ。

なのに、桜庭さんは──


「気にするな。というか、酒に弱いのに無茶するな」


気遣う言葉をくれる。

でもそれが、少し辛い気もした。


「……頑張りたかったんです」


会社の為に。


「私、桜庭さんに何度も背中を押してもらってるのに」


自分の為に。


「何も乗り越えられていない」


……桜庭さんの為に。


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