溺愛オフィス
何があったかも美咲のわかる範囲で説明してくれたらしく。
「もう。勝負なんてムボーでしょ」
軽めに叱られた。
どうやら流れは影から見ていて知っていたようだ。
それにしても……
「どうして、桜庭さん?」
「ん? もしかして新人君の方が良かった?」
「そ、そうじゃないけどっ」
タクシー呼んで乗せてくれるだけでも……なんて口にしたら、それじゃあ心配だったからと言われてしまう。
た、確かに……タクシーで支払いも出来たか微妙なところだけど。
「にしても、桜庭さんって柊奈のことちょっと特別に見てるっぽいよね」
「えっ!?」
驚く私に、美咲はフフフと含みのある笑い方をした。
「柊奈が酔いつぶれたって電話したら、理由を話す前に"場所は?"って」
あれは迎えに来る気満々だったでしょと、ニヤニヤしながら話す。
理由を話したのは、迎えにきてくれた時だったようで。