溺愛オフィス
彼女さん、また明日……でいいんだろうか。
あれなのかな。
桜庭さんは恋愛に対してもクールなんだろうか。
私はあまり恋愛経験は多くない。
学生の頃に付き合った事はあるけど……
臆病な自分に負けてしまい、すぐに関係がダメになった。
明日でも大丈夫になれるほどの恋愛って、相当信頼し合ってるんだろうな。
私もいつか、そんな風になれる相手が見つかるだろうか。
踏み出して、心から誰かと思い合い、触れ合える日が来るだろうか。
やがて、見慣れた我が家があるアパートに車が到着し、私はシートベルトを締めると、桜庭さんに頭を下げた。
「わざわざありがとうございました」
「うちからそう遠くなかったからな」
あ、そうだったんだ。
全然違う方向だったら、桜庭さんの睡眠時間が減っちゃうなとか心配だったんだけど、ちょっと安心。