溺愛オフィス
私が、モデル!?
「か、KAORIさんはっ?」
「KAORIはもう無理だよ。こんだけトライしても響かないんだから、説得するだけ時間の無駄」
だったら別のモデルを使う方がいい。
壮介君はそう言って、桜庭さんに「どうですか」と返答を促す。
いやいやいや!
どうですかじゃないってば。
「ありえないでしょっ。だったら、上里さんを──」
「その子じゃ社長は納得してないんだろ? だったら、別のモデルを探さないと。新ブランド"CaN Do"のイメージにぴったりな子をね」
「私、一般人だよ!? 無理だよっ」
「でも、俺の中のイメージだと、絶対いい感じに化けるよ」
ば、化けるって……
確かに、メイクとかで多少は良く見せることは出来るかもしれないけど、それでもプロに並べるわけがない。
しかも、元々の予定がKAORIさんだ。
「賭けにもならないですよ、桜庭さんっ」
というか、そもそも社長がオーケーを出すわけないだろう。
きっと桜庭さんもそう思ってるはず。
だから「壮介君、やっぱりこの話は──」なしに、と言いかけたところで、足を組み、私たちのやり取りを黙って見ていた桜庭さんが。
「試してみるか」
壮介君の提案した賭けに乗っかった。