溺愛オフィス
撮影スケジュールに関しての再調整が済めば、あとはとんとん拍子に進んでいった。
ヘアメイクさんは、美咲に頼んで同じ人を手配。
カメラマンさんも、桜庭さんの友人がまた撮ってくれることになり、モデルという大役を受ける私としては、知っている人なので少しホッとしている。
その他のスタッフは、KAORIさんの撮影の時と同じメンバーで決まった。
デザイナーの深水さんを始め、企画を聞いたスタッフ達は、モデルが私になったと聞かされた時、相当心配そうにしていたけど、写真を見せると納得してくれて。
あっという間にやってきた撮影日当日では──
「凄いね。本当に声は蓮井ちゃんだ」
再び、ヘアメイクの魔法で変身を終えた私を見て、深水さんがしみじみした声を洩らした。
「声だけじゃなく、身体も私ですよ」
私が笑うと、深水さんも「そういえばそうだった」と冗談めかして笑う。
そこに、壮介君がやってきて。
「柊奈さん、準備できてる?」
鏡越しに、私の様子を伺った。
ヘアメイクさんが「バッチリですよ」と答えると、2階のメイクスペースにいた私たちは揃って地下のスタジオへ移動する。