溺愛オフィス
ここは、KAORIさんが撮影をしていたスタジオと同じハウススタジオ。
モデルは変わっても、ブランドのイメージとして選んだ場所なので、同じスタジオをおさえたのだ。
地下に降りると、まず始めに飛び込んできたのは、カメラマンさんがスタッフを立たせてライティングの調整をしている姿。
そして、視線を動かしていくと、みんながこの撮影の為に動いているのが確認できて。
少し前は、そこに自分も加わっていたのに……と、不思議な気分になる。
それと同時に。
「……緊張してきた」
あのライトを浴びながら撮影していたKAORIさんの堂々した姿。
プロとして、あの場所に立っていたKAORIさんを思い出したら、急に心臓がバクバクと騒ぎ出す。
今日、あそこには立つのはKAORIさんではなく、私。
スタッフはみんな知っている人とはいえ、やっぱりこの状況にはどうしたって緊張するわけで。
しかも、今日はこの前の写真撮影とは違う。
ここで撮影されたものが、巨大広告となり街中に飾られるのだ。
深呼吸しても、心臓は落ち着かない。
呼吸さえ、うまく出来ないような気がしてきて。
どうしたらいいものかと悩み、一度1階へ上がった。