溺愛オフィス
【やってしまったのです】
翌日も、私はいつものように電車に乗り出社。
今日は、早乙女さんもデスクにいて、コーヒーを片手にパソコンと睨めっこしている。
私は、そんな早乙女さんにカタログ制作の為の必要な資料を取りに行く事を伝え、デスクを離れた。
資料室は、同じ10階にあるけれど、プレスルームと同じく部屋は別だ。
廊下を歩き、会議室の扉の前を通り、その奥にある扉の横に設置されているカードキーにカードを通す。
緑のランプが灯り、ロックが解除されたのを確認すると、ドアノブに手をかけた。
薄暗い資料室内に入り、電気をつける。
室内には背の高い棚が並んでいて、私は目的の資料がある棚を探した。
「えっと……あ。ここだ」
必要な資料が入っているのは一番上の棚。
背が高くない私は、壁にたてかけられていた脚立をしっかりと設置し、登る。
そして、目的の資料が入っているであろうファイルに指を添えた時だった。
資料室のロックを解除する音がし、次いで扉が開いたかと思えば。
「またお前か」
桜庭さんが入ってきた。