溺愛オフィス


というか、またって何ですか。

確かに昨日からよく会いますけど。

そもそも同じ会社で働いてるんだから、何度も会うことだってあるじゃないですか。


……とは、言えず。


私はファイルを手に取ると、桜庭さんに頭を下げた。


「昨日はありがとうございま──」


ありがとうございました。

そう続けるはずだったのに、続かなかったのは……


「蓮井!」


バランスを崩し、脚立から落ちそうになったからだ。

体勢をどうにか立て直そうにも、時すでに遅し。

私の足は脚立から離れ、身体は横向き倒れていく。


ダメだ──


怪我することを覚悟して、瞼をギュッと閉じる。

直後、身体が地面に叩きつけられ……


てない?


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