溺愛オフィス


一晩明けて。

私は両手に沢山のショップ袋を下げながら、夕暮れ迫る代官山を歩いていた。

土曜日とあって道行く人の数は多く、私は荷物が人に当たらないように気を付けながら帰路を辿る。

今日の収穫は、主に雑貨。

本当は、こんなに買う予定はなかった。

でも、色々とお店を見ていたら、部屋の雰囲気を変えたくなって買ってしまったのだ。

多分、気分的に変化が欲しいんだと思う。

昨日の父の件があったから、心だけではなく、目に見える部分でも変化を、と。

それにしても……


「やっぱりちょっと買い過ぎたかも」


荷物の重さを肩で感じ始めていた私は、ついひとりごちる。

最後のお店で、店員さんにも心配されたしなぁ。

でも、家まで遠い距離じゃない。

あ……この荷物、この時刻の電車内では迷惑かも。

なんて考えた時だった。


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