溺愛オフィス
突然過ぎる展開に、私が数度瞬きしながら「どこにですか?」と問いかけると。
「飯食いに。早く乗れ」
荷物はトランクな、と続けた桜庭さん。
どうやら拒否権はないようで、私は急いでトランクに荷物をしまわせてもらうと、助手席に乗り込んだ。
相変わらず強引というか、マイペースというか。
だけど……以前と違ってそこが苦手とは思わない自分がいて。
これが、気持ちがある証拠なのだと考えたら、隣で運転する桜庭さんを意識してドキドキしてしまう。
もちろん、そんなことになってるなんて思いもしないであろう桜庭さんは、慣れた手つきでハンドルを切るのだった。