溺愛オフィス
壮介君と二人、奥へと足を進めながら。
「い、いいんですか?」
私が確認すると、深水さんはニコニコしながら首を縦に振る。
「もちろんいいよ」
そして、向かいに座る男性を見て。
「ね、桜庭」
予想できていた名を口にした。
桜庭さんは私と壮介君をチラリとだけ見て。
「別にかまわない。早く座れ」
そう促し、手にしていたメニューに目を通す。
「やった。深水さんの奢り~」
嬉しそうに桜庭さんの隣に座った壮介君。
「そこは桜庭でしょ?」
目を細めて楽しげに桜庭さんに矛先を向ける深水さん。
「指名されたのは深水だろ」
クールにお断りする桜庭さん。
そして……
桜庭さんの前に座ることになって、少々ぎこちない私。