溺愛オフィス
「つまり、桜庭さんのことが……」
その先の言葉はたった二文字。
それを口にするのが、こんなにも勇気がいるなんて知らなかった。
桜庭さんが相変わらず余裕そうに私を見つめる中、私は息を吸い込んで……
「好き、です」
顔が真っ赤になるのを感じながら、言った。
──直後。
「やっと聞けた」
桜庭さんが、嬉しそうに微笑んで。
「蓮井にしては、早い方だったな」
そう言うと、私の頭をくしゃりと撫でる。
もちろん、触れられることに嫌悪感はない。
それよりも。
「私の気持ち、知ってたんですか?」
聞けば、桜庭さんは小さく方を揺らして笑う。
「お前が言ったんだよ。ぶつかりまくって変われたら、俺に好きだって言いに行くって」
……え。
「ええええっ!?」