溺愛オフィス
【大好きです】
電話口で壮介君は笑っていた。
『バレた?』
悪びれた様子もなく、いつもの調子の彼に私は溜め息を吐いたんだ。
でも、それだけ。
壮介君が嘘をついたのは、私の為だとわかったから。
ありがとうと伝えると、壮介君は少し悲しそうに『どういたしまして』と答え、最後に……
『俺を選ばないとか、柊奈さんホントバカだよね』
ふざけた口調で悪態をついて、私に向けてくれていた想いを仕舞い込んだ。
それから二月後──
私は私なりの忙しい毎日を送っている。
壮介君とは以前のように、先輩と後輩の関係としてうまくやっていた。
まあ、相変わらずの毒舌に困ることもあるけど、彼なりにじゃれているんだろうと思うようにしている。
美咲は、秘書君ともお医者様とも別れ、今は新しい彼氏とラブラブらしい。
今日のランチも恋の話に花を咲かせたっけ。
そして、父との関係は……
少しずつだけど良くなっている。