溺愛オフィス
「私も……桜庭さんを信じてます」
だから、触れたいと、触れられたいと思うの。
臆病で逃げ腰だった私が、臆病なりにも前向きに恋が出来るようになったのは、あなただから。
桜庭さんが好き。
大好きです。
その想いを伝えたくて、勇気を出して、自分からそっと唇を寄せる。
桜庭さんの少し驚いた気配を感じたけど、それも一瞬で。
彼は、私の唇を割るようにして深く唇を重ねると、強く私の体を抱き締めた。
唇が、熱い。
クラクラしそうな深い口付けに翻弄されていたら、ふと、唇が僅かに離れて。
「今日は……逃げないのか?」
吐息交じりに聞かれ、私は少しだけ震える手を彼の背中に回して答える。
「逃げたく、ありません」
そうすれば、桜庭さんは満足そうに目元を緩めて。
「愛してる」
甘い声色で告げると、私の頬を心底愛おしそうに指で撫で、再び深く熱く唇を重ね合わせた。
~ FIN ~