溺愛オフィス
「岡沢さん、言っときますけど、奢りませんよ」
「わかってますー。柊奈を元気付けてあげようという新人君の優しさもわかってますー」
「え?」
美咲の言葉に驚き、壮介君に視線をやると。
「ばっ!? 違いますよ! 俺はただ腹減ってるから、暇そうな柊奈さんを誘ってやろうかと思って声をかけたんだ!」
不機嫌そうにプイッとそっぽを向いた。
ちょっと、耳が赤い気がするのは気のせい……かな?
「はいはい。ほら、早く支度してきなさいよー」
「~っ、すぐ片付けてくるから、下で待ってて」
「う、うん。わかった」
本当は、行くなんて返事してないんだけど……
美咲まで一緒に夕飯に行けるチャンスも、本社勤務になってから滅多にないから、私は首を縦に振った。