溺愛オフィス


「なに? プロジェクトって?」


ブラウンマッシュルームの肉詰めをフォークに刺した壮介君が私たちを交互に見て。

美咲は一応秘密よ、と最初に告げてから話す。


「新ブランドが立ち上がるのは新人君も知ってるでしょ?」

「もちろん」


壮介君がコクンとひとつ頷く。

まあ、そうだよね。

壮介君はファッションコーディネーターのアシスタントだ。

プレスもだけど、新ブランドに関してはすでに少しずつ関わっている。

それは、バイヤーや商品部と連携して動くファッションコーディネーターという職業も然り。


「それで、その新ブランドに関するプロジェクトが何かあるみたいよー」

「何かって?」


壮介君は質問すると、肉詰めを口内に放り込み咀嚼する。

私が美咲に「そこまではまだわからないんでしょ?」と聞くと。


「んーん。それも仕入れ済み。どうやらトップモデルを使うみたい」


意外にも、すでに知っていてサラリと教えてくれた。

ホント、漏らしすぎじゃないかな、秘書君……


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