溺愛オフィス
確かに、壮介君はとてもセンスがいい。
お客様に提案するコーディネートも的確で、彼が店に入る日は売り上げも違った。
だから、壮介君が入社してすぐにファッションコーディネーターのアシスタントになったのは納得だった。
「それを活かして、今回のプロジェクトに参加し、更に成長するのを俺も社長も期待してる」
期待、という言葉が壮介君の中で響いたんだろう。
壮介君は頭を下げて。
「ありがとうございます」
少し嬉しそうに口元を綻ばせた。
「それから、蓮井」
「はい」
名前を呼ばれ、私は背筋を正す。
「お前を選んだ理由は、この前車の中で話してくれた内容にある」
車の中でって……
どうして私がリアライズで働く事を選んだかってやつ、かな?