溺愛オフィス


「もうっ! 冗談やめてください!」


まさか、クールな桜庭さんが、セクハラまがいの冗談を言うなんて。

私が顔を赤くして抗議すると、それまでからかうように私を見ていた桜庭さんの瞳が優しく細めらて。


「大丈夫。蓮井は変われるよ。今だって、しっかり俺の手を握れてる」


言いながら屈むと、パンプスに手を添えて、ハマっていたヒールを助けてくれる。


"変われる"


そう言いきってくれた人は初めてで。


「……はい」


なんだか嬉しくて、笑みを浮かべると。


「…………」


桜庭さんは無言で私を見つめた。


「な、何ですか?」


顔に何かついてるのか。

それともメイクがおかしいとか?

動揺しつつ手を頬に触れさせていたら。


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