溺愛オフィス
【2人だけの飲み会です】
朝のオフィスビル街を歩きながら、私は欠伸を噛み殺す。
昨夜は寝る前に読んでいる本に夢中になり過ぎて、うっかり夜更かしをしてしまった。
仕事中はぼんやりしないように気を付けないとと肝に銘じながら、リアライズの入っているビルに向かっていると。
「柊奈ー。見たよー?」
背後から背を軽く叩かれ振り向くと、白いシャツにボーダー柄のガウチョパンツを爽やかに着こなした美咲がいた。
私が「おはよう、美咲」と挨拶すると、彼女は挨拶を返してから「そんなことより」と顔をにやつかせる
。
「昨日は桜庭さんといい感じに見えましたが?」
フフフと笑う美咲だけど、私は何の話か見えず、左隣を歩く彼女に「え?」と返した。
すると。
「打ち合わせ帰りのアクシデントのこと」
ズバリ、昨日の出来事を口にされて。
「みっ、見てたの?」
「ショップに向う時にたまたまねー」