溺愛オフィス


「な、なに?」

「ハードルが高いと思うってことは、恋の予感はありな感じ?」


こ、恋の予感って!

確かに、いつもと違う雰囲気の桜庭さんには、ほんのちょっとドキッとした。

それから、桜庭さんのくれた言葉が嬉しかったりもしたよ?

けど、それは恋とかそんなんじゃ……


「な、ないっ! そもそも、私はもっと優しくて穏やかな人がいいの!」


そうだ。

私は、私のペースに合わせてゆっくりと恋を育んでくれるような人が──


「俺ももっと色気があって、マンホールにハマらない女がいいな」


……え?

あれ?

ちょ、この声はもしかして……


嫌な予感に恐る恐る声のした右方向に視線を移すと。



< 60 / 323 >

この作品をシェア

pagetop