溺愛オフィス
追加したビールが笑顔の可愛らしい女性店員さんによって運ばれ、壮介君の前に置かれた。
壮介君はそれを手に取ると。
「……柊奈さんがいたから」
なぜか、私の名前を零した。
「えっ?」
意味がわからず瞬きを繰り返していると、壮介君はニヤリと口の端を上げて。
「てゆーのは冗談で、まあなんとなくだよ」
いやいや、冗談も何もよくわからなんですけど。
「それより、桜庭さんの車に乗ったんだ?」
いきなり話題を変えられて一瞬戸惑うも、私は頷く。
「うん。終電ギリギリになっちゃって送ってもらったの」
「送ってもらった、ね」
私の言葉を繰り返した壮介君は、ビールを一気に飲み干すと、ちょっと乱暴にグラスをテーブルに置いた。