溺愛オフィス
【気になるのです】
小さな顔に、印象的な猫目。
鼻はほどよく高く上品で、ぽってりとした唇は女性らしくセクシー。
サイドで編み込んだ長い髪を、丸みのあるオシャレなバレッタで留めた彼女は、人懐こそうな笑顔を浮かべて。
「初めまして~、KAORIです。よろしくお願いします」
私たちに挨拶をしてくれた。
今日は顔合わせの日。
私は、社長と桜庭さん、壮介君とデザイナーの深水さんと一緒に、KAORIさんの所属する芸能事務所にお邪魔している。
案内されたのは、事務所内の応接室。
日当たりが良く、明るい雰囲気の室内には、ダークブラウンのテーブルを囲むようにブルーのソファーが並べられている。
それにしても……
先日もお会いしたマネージャーの松岡さんに続いてKAORIさんが入ってきた時は、仕事だと思いつつもさすがに心が踊ってしまった。
なんというか、雑誌やテレビで拝見する以上に、スーパースターのオーラを感じたというか。
けれど、テレビ等で感じるよりかは気さくだし、これから一緒にお仕事をすることに、私は少し安堵する。
ピリピリした空気の中で仕事するのは、できる限り遠慮したいもんね。