溺愛オフィス
「そうだ。桜庭さんにかかってきた電話だ……」
そう。
送ってもらったあの夜、桜庭さんの携帯に表示されていた名前が──支倉香織。
「柊奈さん? 電話が何?」
私の声に壮介君が不思議そうに首を傾げて。
私は何でもないよと、首を横に振った。
これはたまたま?
それとも、イコール?
KAORIさんは……桜庭さんの彼女なの?
もし、そうならば、トップモデルとの恋愛はきっと秘密にしているだろう。
だから、桜庭さん本人に確かめることは憚られるけれど……
抱いてしまった疑問は
私の中でしばらく
ぐるぐるとめぐり続けていた──‥