溺愛オフィス
【夜のオフィスの出来事です】
コピー機から出てきた数枚の紙。
そこに彩られているのは、新ブランドのカタログに使用するロゴだ。
正確にはロゴの案。
私はそれを手に、自分の席に戻った。
時刻は22時を過ぎようとしている。
周りを見渡せば、どうやら私しかいないようだ。
元々今日は外に出てる人が多い。
そのまま直帰コースとなると、いつもはこの時間でももう少し人がいるオフィスも、こんな風にガランとしてしまう。
疲れのせいだろうか。
欠伸が出て、右手で口を覆った時──
「でっかい欠伸だな」
男の人の声と共に、私の頭に何か固いものが乗った。
てっきり自分しか残っていないと思っていた私は驚き振り返る。
すると、そこには桜庭さんがいて。