溺愛オフィス
「海外ですか……」
大きな目標を持つ桜庭さんを、素直に凄いと感じる。
桜庭さんの胸にあるそれに比べたら、私の目指すものはとても小さい。
生地はなるべく日本製にこだわり、いいものを提供したい。
コーヒーを飲みながら、自分の中にあるものを語ってくれる桜庭さん。
クールにイメージが強い彼の熱い心が少しだけ垣間見れた気がして。
「きっと、桜庭さんなら素敵なブランドを作れますよ」
感じたまま口にすれば。
桜庭さんは、表情を緩めて。
「ちなみに、この話は内緒にな」
人差し指を唇の前に立てた。
その柔らかい表情とどことなくセクシーな仕草に、私の心臓が跳ねる。
私がひとつ頷き、秘密にすることに同意したその時だった。