溺愛オフィス
「お邪魔しまーす」
オフィスの扉が勢い良く開いたかと思えば、聞こえてきた明るい女性の声。
私と桜庭さんは、同時にそちらに目をやる。
──と、そこにいたのは、なんと。
「か、KAORIさんっ!?」
そう。
KAORIさんだ。
透け感のあるフリンジのポンチョに、イエローのショートパンツ。
細く長い足を惜しげもなく見せながら、KAORIさんはこちらに向かって歩いてくる。
それを呆然と眺めていたら、隣に座っている桜庭さんが立ち上がった。
「……どうやって入った?」
……そうだ。
ここは、入館証がないと入れない。
あ、でも、KAORIさんが桜庭さんの彼女だとすれば、桜庭さんが入れてあげた……の線はないんだよね。
今、彼はどうやって入ったのかを聞いていたし。
じゃあ、どうやって?