溺愛オフィス
不思議に思い首を傾けると、KAORIさんはにっこりと笑みを浮かべて。
「急ぎの用があるからって、あなたのお兄様に、ね」
口にした直後、桜庭さんが小さく舌打ちするのが聞こえた。
それはKAORIさんにも聞こえたのか。
「なーに? その態度。契約、辞めてもいいよ?」
不機嫌そうに眉を上げて、とんでもないことを口走る。
そ、それは困る!
ていうか、桜庭さん!
早くフォローをしてくださいっ。
ハラハラしながら、二人を見守る私。
だけど、桜庭さんはKAORIさんの脅し等気にもしていない様子で。
「……で? 急ぎの用ってのは?」
面倒そうに溜め息を吐いて問いかける。
そんなんじゃKAORIさんの怒りレベルが上がってしまうのではと、一瞬、背中に嫌なものを感じたのだけど。
「あなたと飲みに行くこと」
KAORIさんはたいして気にした様子もなく、飲みに誘っていた。
けれど──