溺愛オフィス
社長はサボリって言ってたけど、定時は越えてるし、もしも仕事を終えての睡眠だとしたら邪魔しちゃうんじゃないかな?
スケジュールの件はまた明日か、メモと一緒にデスクに置いておくでも良さそうだけど……
迷いつつ、とりあえず私は応接室の扉を開けて中を覗いてみる。
──と、そこには、社長の話通り、ソファーに横になって寝ている桜庭さんの姿があった。
ホントどうしよう。
このまま寝かせてあげたい気もするけど、社長は起こしてやってとか言ってたし。
未だ迷いながらも扉を静かに閉めて、私はぐっすり眠る桜庭さんに近づいた。
「桜庭さーん……」
遠慮がちに声をかけるけど、桜庭さんはピクリとも動かない。
クラシック調のカウチソファーに仰向けになり、穏やかに胸を上下させているのみ。
ファッション関連の本だろうか。
桜庭さんのお腹の上には、少し分厚めの本が開かれたまま乗っていて。
それを支えていた左手が、スルリとソファーへと落ちた。
深い眠りについているのか、それでもなお桜庭さんは寝息を立てている。
私はそんな桜庭さんの寝顔を、そっと観察。