溺愛オフィス


こんなことは初めてだ。

相手が寝ているから?


自分でもよくわからない、けど。


私は、早くなる鼓動を感じながら、ゆっくりと自分の手を動かして。


そっと……寝ている桜庭さんの手に



触れた。



緊張はしている。

でも、怖さはなくて。


伝わる彼の手の温もりも、嫌なものではなくて。


それはやはり、以前助けてもらったからなのかと胸を高鳴らせながら考えていたら──


「……襲うつもりか」


突然降ってきた桜庭さんの声。

これ以上ないくらいに心臓が跳ねて、私は慌てて手を離した。


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