溺愛オフィス


「ち、ちがっ、違いますっ!」


顔が熱い。

とんでもなく熱い。

きっと真っ赤になってるのだろうと、容易に想像ができるくらいに。


そんな私を桜庭さんはクスリと笑って、ソファーに横になったまま「まあ、いい傾向じゃないか」と言った。


「何がですか」

「自分から触れてた」

「おおおっ、起きてたんですかっ?」


動揺して、どもりながら問えば、桜庭さんはからかうように口元を弓なりにする。


「苦手じゃなくなって良かったな」


言われて、私は頭を振った。

男の人に対する苦手意識がなくなったわけじゃない。

今回は多分……


「桜庭さんだから、です」


相手が、桜庭さんだったから。

それを口にしたら。


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