変わらず君が好き
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私は彼に溺愛しているのかも知れない。

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私、橘なつめは何処にでもいる普通の新米主婦。
去年の夏、彼からプロポーズを受け、その後すぐに、私が憧れていたチャペルで挙式をした。
彼は高校時代から付き合っている仲。卒業したあとお互い違う学校に通いながら、同棲を始めた。

もう私達も24だ。彼も仕事につき、私は主婦に。

私は彼が帰る前にスーパーで夕食の材料を買おうと思い、アパートを出た。まだ少しだけ寒さが残っている季節。赤い夕日に街が照らされ、木々や歩く自分の影が出来ている。風もそよそよと吹き気持ちがいい。


鍋の買い物を済まし、スーパーを出て、鼻歌を歌いながら帰り道を歩いた。

アパートに着くと、時計の針が6時半をさすところだった。
私は急いで鍋の準備を始めた。ちなみに、料理は得意な方だ。

鍋が完成したのは七時過ぎ。まだ孝支は帰ってこない。
私は不思議に思い、孝支にLINEをいれた。もう少ししたら帰ってくるだろうと思い、テレビを見て待つことにした。



何時間か過ぎ、時刻は9時。孝支はまだ帰ってこない。もしかしたら別の女性といるんじゃないか、と思ってしまう私。LINEも既読は付いていない。

「先食べちゃうからね、孝支の馬鹿」

そう鍋の前で呟き、冷めた鍋をまた温める。
いただきまーす、と1人手を合わせ箸を手にした時、勢い良くドアが開いた。

「なつめ!!」

そこには汗を流し呼吸を整えている孝支が居た。

「なつめ!!本当ごめん!!遅くなった!!」

孝支は凄く必死に誤ってくれている。けれど、私の頑固さが勝ち、

「………もういいよ…馬鹿孝支…」

と、顔を逸らした。その瞬間、私は孝支に抱きしめられた。

「ごめん」

低いトーンで静かに謝る孝支の息が私の耳元にかかりゾクッとなった。
私が小さく頷くと、孝支は離れ、変わらない明るさでニカッと笑いながら私の頭をポンポンと優しく撫でた。

「ご飯作ってくれて、しかもこんな時間まで待っててくれて、ありがとう」

感謝を込めていただきます、と孝支は言い、手を合わせた。私は召し上がれ、と言い具を盛る。

途中、何で遅かったの?と聞くと、

「残業してた」

口いっぱいに具を詰め込んで答える孝支。私は驚きのあまり

「え!?残業!?」

と言い立ち上がった。孝支は目を点にして私を見ている。私は、

「私…女の人と居るとか最低な事考えてた…」

ごめん、と言うと、孝支は笑っていた。

「こんなになつめの事溺愛してんのに!笑 それを一番分かってるのなつめでしょ?笑 だから、そんなこともう考えないでさ。なつめを離したりしたいから」

約束、と微笑まれながら小指を出され、私はその笑顔に、もうハートの矢が刺さってる心を更にハートの矢が刺さり、孝支の可愛さに悶えながら小指を絡めた。

高校一年から孝支を好きになって、それから現在まで良く別れなかったなあ、そう思った。私はあの時と変わらず本当に孝支のこと大好きなんだと改めて感じ、幸せいっぱいになった。
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