栗色彼女(*番外編14p〜*)
元彼氏が、途端焦った顔をして私に寄ってくる。
ガシ、と強く肩を掴まれれば、その肩が泣いてる音がした。
「みはるっ、これは違うんだよ、さっきのはコイツが勝手に!」
「うん、わかったから離してくれる?」
「な、なぁ美春、別れるなんて冗談だろ?」
「…そうね、」
彼の後ろをチラリと見る。
さっき彼とキスをしていた女の人は、鞄を握りしめて泣きそうな顔をしていた。
いやね、泣きたいのはこっちなのに。
「冗談じゃないわ。」
パシ、と彼の腕をはたき落とす。
彼がしていたことを思えば、その手がとても汚く思えた。