栗色彼女(*番外編14p〜*)


彼の後ろにいる女の人は、私のことを知っていたのかしら。

だからあんなに恨めしそうに、私のことを見ているのかしら。



「はぁ…」


彼から少し距離を取って、鞄に手をつける。

昨日買った“ソレ”が、どうしようもなく邪魔で、いらない。


袋に入った“ソレ”を取り出して、思い切り彼に投げつける。




「じゃあ、さよなら。」


彼の胸に当たって、落ちた“ソレ”は。


少しマイナーな小説の、第二巻。

少し前に彼が、ほしいと言っていたものだった。
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