LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
いきなり、鈴蘭がオレのネクタイを引っ張った。
とっさのことで面食らって、前のめりに引き寄せられる。
白い小さな顔が近い。
鈴蘭のまつげの長さに気付いて、ドキッとする。そのまま心臓が走り出す。
鈴蘭は早口でささやいた。
「わたし、ほんとに、ああいう人ダメなんです。絶対、二人きりとか無理です。煥先輩、バンドの練習があるんですよね? わたし、図書室で待ってます。練習が終わったら、迎えに来てください」
風が吹いた。
鈴蘭の黒髪がオレの頬に触れた。
甘い香りがした。
「な、何で、オレが?」
「ボディガード役、お願いします。じゃなきゃ、両親がうるさいんです」
鈴蘭は、言うだけ言って、身をひるがえした。あっという間に屋上を出ていく。