LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
オレと鈴蘭との間に、会話はほとんどない。
間に師央が入るから助かる。
でも、放課後。ときどき、ほんとに、ごくたまに、鈴蘭と二人だけになってしまう瞬間がある。
沈黙。
会話って、どうやるんだ?
鈴蘭はカバンから本を出して読み始める。
オレは何もできずに、鈴蘭の横顔を眺める。
鈴蘭は、澄ました横顔を保ったままだ。
心臓が騒ぎ出す。
鈴蘭を視界に入れておけなくて、目を閉じる。
うるさい鼓動をごまかすために、唄を口ずさむ。
兄貴が書いた曲だ。オレがそこに詞を付ける。
ハミングの合間に、鈴蘭からバンドの曲かと訊かれて、そうだと答えた。
その一往復だけ、会話が成立した。