LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「噂、あるんです。あの人が鈴蘭さんのこと好きだ、って。鈴蘭さん、モテるんですよ」
胸がザワッとした。
一瞬、いろんな男が鈴蘭に欲望をいだくところを想像してしまった。
吐き気がする。
鈴蘭の存在自体、けがされたくない。
じゃあ、オレ自身は?
鈴蘭に触れたいと、確かに思ったことがある。
オレは自分の衝動を許せる? 許すなら、それはまるで独占欲?
鈴蘭が首を左右に振った。黒髪が揺れた。
男が謝る様子で頭を下げた。
「振った、ってことか」
「安心しました?」
「バカ言うな」
男が先にいなくなって、しばらくして、鈴蘭もバラ園を立ち去った。