LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


兄貴がステージ上から戻ってきた。


生徒会長としての仕事が済んだらしい。



「スタンバイするぞ、煥。本番だけは、きちっとやれよ」



「わかってる」



オレたちが演奏するのは二曲だけ。ステージ衣装は制服のまま。


音響も照明も、設備はショボい。


盛大でも本格的でもないライヴ環境だ。



それでも、本気でぶつかる。



円陣を組む。


遠慮する師央を、兄貴が引っ張り込んだ。


兄貴の笑顔が本物になっている。


生徒会長の仮面じゃなくて、楽しくてたまらないときの顔だ。



「なあ、師央。瑪都流《バァトル》の由来を話したっけ?」



「いえ、聞いてません」


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