LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


亜美さんと牛富さんと雄も部室にいた。


兄貴は、その前の年にギターを始めていた。


亜美さんと牛富さんも、兄貴と同時だった。


シンセの雄は、昔からピアノを弾けた。



オレは、何で歌わされるのか、わからなかった。


小学校時代は、日中、誰ともしゃべらずに、ろくに声を出すこともない毎日だった。


歌い始めたころは、すぐに声が嗄れた。


兄貴たちが練習する隣でじっと黙って、ただ、思ったことを詞に書いていた。



「あの二曲でいいのか? プログラムには、別の曲名を載せてるのに」



兄貴は一笑した。



「煥が進行のことを心配するなよ。MCはおれに任せろ。おまえは、思うままに歌え。本気のおまえの声、おれは好きだからさ」


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