LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


歌うときだけは、高い声もデカい声も出る。


昔、初めて録った自分の声を聴いて、驚いた。


不思議な声だった。


自分で感じる自分の声は、もっと、こもっている。


外から入ってくる自分の声は違った。



兄貴が言っていた。



「貫かれる、だろ? 耳から入る音のはずが、まっすぐ胸に飛び込んでくる。歌詞を頭で理解するより先に、メッセージに胸を貫かれるんだ。煥の声、魔法だよ。おれは昔から知ってたけどな」



細いけれど折れない、しなうような声。


尖らせて荒らしてみても、響きにまろやかさが残る声。


体温より少しだけ高い温度を持つ声。


そんな声で、オレは、オレ自身を歌う。


< 196 / 485 >

この作品をシェア

pagetop