LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「治ったみたいです。痛くなかったですか?」
「別に」
鈴蘭は、裁縫箱から小さなハサミを出した。
ボタンの裏に飛び出した糸を、短く切る。
「できました」
差し出されたカッターシャツを受け取る。
黙って受け取って、足りないと気付く。
「ありがとう」
つぶやいてみる。
胸が騒いでいる。小さな手の感触が、まだオレの手に残っている。
鈴蘭がバタバタと音高く帰り支度をした。
「し、師央くんは玄関で待ってるそうです。早く行かなきゃ、待たせすぎますよねっ。先輩、シャツ着てください! 置いていきますよっ」
口調が、なんかキツい。
オレのリズムが、いちいち鈴蘭をイラつかせてるのか?