LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


そいつは、オレの肩越しに視線を投げた。鈴蘭と師央がいる。



「ここじゃ話せないことか?」



「話してもいいんだけどね。でも、もう少し情報がほしくなりました。あ、危険な取引なんかじゃないですよ。まあ、興味を持ってもらえたら嬉しいな」



そいつは、重たげなカバンを肩に引っかけて歩き出した。


オレの隣を、すっと通り過ぎる。


かすかな風圧。足音がしない。



オレはそいつの動きを目で追った。


そいつは鈴蘭と師央に軽く会釈をする。そのまま歩いていく。



鈴蘭は怪訝そうな顔をしていた。


師央の表情がおかしい。目を見張って、かすかに震えている。


師央は、歩き去ろうとする背中に叫んだ。


< 216 / 485 >

この作品をシェア

pagetop