LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
兄貴が笑いながらメットをかぶった。
「免許? さあ、何のことだろう?」
月に一度の今日は、特別。
「じゃあ、あの、それって……」
「兄貴も今日だけは目をつぶる。いつからだっけな? オレたちの習慣なんだ」
「今日だけ? 習慣って、どういうことですか?」
兄貴が師央の肩をポンと叩いた。
口調は平然としている。
いや、むしろ、普段よりも生き生きと、楽しそうだ。
「師央、バイク、好きなのか?」
「はい。カッコいいって思います。このバイクは、文徳さんと煥《あきら》さんのですか?」
「シルバーが煥、赤がおれのだよ。もとは、両方とも、おれたちの親父のだった」