LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


海牙が大きく伸びをした。



「やれやれ。また考える材料が増えちゃったな。まあ、思考実験が進むのは、悪いことじゃない。検証できるかとうかは別だけどね。さて、帰ろうかな」



あっさりとした口ぶりに拍子抜けした。



「帰る?」



「課題がまだ片付いてなくてね。進学校の三年生は、休む暇もないんですよ」



「課題って、おい、あんた結局、何しに来たんだ?」



「何しに、って、ああ、そうか。また忘れるところだった」



海牙は、すっと背筋を伸ばした。


頬に浮かんだ笑みは隙がない。


チカラを見せつけられたばかりだ。


反射的に、ゾクリとする。


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