LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「私は割と全知全能でね」
海牙が先導する道は、人通りがなかった。
裏路地を選んで走っているらしい。
確かに、海牙は人に見られたくないだろう。
時速数十キロで疾走するローラースケーター。
一般的な感覚では、あり得ない存在だ。
オレとしても、人目がないのはありがたい。
緋炎【ひえん】や警察は避けたい。
連中に見付かったら、厄介だ。
やがて、広々とした邸宅の前に到着した。
県境の高原地帯だ。
まわりには人家も店もない。
「着きましたよ」
海牙は、さすがに軽く息を弾ませていた。
ローラースケートから革靴に履き替える。
そういえば、とオレは思い出した。
「方向音痴と言ってたが。
今日は迷ってなかったな」