LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―


オレは起き上がって、鈴蘭から離れた。

師央と理仁が、鈴蘭を助け起こす。


オレは目を閉じた。

呼吸を整える。

ゴトゴトと走る心臓。

恐怖が去っていかない。


平井の声が聞こえた。


「怖かっただろう、伊呂波煥くん?

守りたいものを、一時の衝動で破壊しそうになる。

自分に力があるからこそ、破壊できてしまう。

それがどれほど怖いことか。

今、わかってもらえただろう?」


沈んだ響きだった。

まじめな口調だった。


オレは、目を閉じたまま訊いた。


「自分はいつもその恐怖を感じている、と?

そう言いたいのか?」


平井が答えた。


「そのとおりだ。

私は、途方もないものの預かり手だから」


< 311 / 485 >

この作品をシェア

pagetop