LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
平井は、静かに言い放った。
「そうだ。
私は地球の支配者だ。
別の言い方もできる。
私は運命の預かり手だ」
運命、という言葉。
最近よく意識するモノ。
目に見えない。
存在するのかどうかもわからない。
いや、それが存在するとして。
平井がそれを感知できるのだとして。
「運命は、変えられるのか?」
「変えられるよ、伊呂波煥くん。
正確には“運命の一枝”を変えられるんだ」
「一枝……ひとつの、枝?」
「運命は、大きな樹の形をしている。
未来の可能性は、枝分かれを繰り返す。
私が預かるのは、そのうちの一枝だ。
枝は、分かれる可能性を持っている。
運命の一枝は、つねに変化の可能性を持っている」