LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
「あんたは、何もしないのか?
異変が起こってるのをわかってる。
そのくせ、ここで黙って見過ごすのか?」
平井はうなずいた。
あきらめたような、静かな顔だった。
「私は、何も為してはならないのだ。
すべてを知っている。
すべてに影響を及ぼすことができる。
強いチカラがあるからこそ、禁忌もまた大きい」
不自由なもんだ。
全知全能イコール、何もしちゃいけねぇとは。
「そうだな、伊呂波煥くん。
因果の天秤は均衡していなければならないからね。
ああ、もう一つ教えておこう。
宝珠の預かり手は、因果の天秤の預かり手でもある。
狂った均衡を正すため。
きみたちはチカラを試されるのだ。
精いっぱい、暴れてきなさい」
ギリギリまで必死になって戦わなきゃ、ほしい未来は手に入らない。
そういう意味だと思った。